第30回練馬医学会
ZOOMウェビナーにて配信

基調講演
「天気の影響を受ける痛みのメカニズムと対策」演者:佐藤 純
気象の変化の影響を受ける病気や症状は多く知られており、総称して「気象病」という。
なかでも、演者の専門である慢性痛は、天気の変化で症状が悪化することが多く、
総じて「起床関連痛」あるいは「天気痛」と呼ばれている。愛知医科大学・疼痛医学講座が行った名古屋市近隣の
住民アンケート調査(回答数2,628名)によれば、慢性の運動器痛がある人が全体の39.3%であり、
その約25%の人が「天気が悪いとき、崩れるときに痛みが強くなる」と答えている。この数値には、天気の影響を受けることが知られている片頭痛が含まれていないことから、実際の数はさらに多いものと考えられる。
また、演者とウェザーニューズらがおこなった「天気痛調査2020」においても同様の疫学的傾向がみられたが、
天気痛の症状やタイミングは人によってさまざまであり、雨が降ってから不調を感じる人や、
その数日前から症状が出る人もいることが分かっている。しかしながら、この病態のメカニズムには不明な点も
多く、効果的な治療法も確立されていないことから、対応に苦慮している臨床家も多いと思われる。
本講演では気象病や気象関連痛の特徴、メカニズム、有効な対処法について、この病態に長年とりくんできた筆者の知見を述べたい。