気象病・天気痛

気象病・天気痛とは

病気のなかで、気象の影響を受けるものを総称して「気象病」と呼びますが、日本初の気象病外来・天気痛外来®を立ち上げた佐藤 純医師(天気痛ドクター® )は、天気が悪くなると痛みが悪化したり、寒暖差による不調を「天気痛」と名付けました。
気象病・天気痛の症状には、頭痛だけでなく、めまい、耳鳴り、倦怠感、うつ等もあり、症状やその重さも人によって様々です。また寒暖差による寒暖差疲労も近年注目されています。メカニズムに内耳と自律神経失調が関係している事を明らかにしました。

NHK[サイエンスZERO] 出演(2022年2月27日)動画アニメーション
その体調不良は天気のせい!?「天気痛」の謎を最新科学が解明!アニメで“超”簡単解説 |

天気痛とは、天気の変化による痛みや寒暖差による体調不良のこと。

天気痛とは、気圧の変化が体調に悪影響を与えることによっておこります。頭痛やめまい、気分が落ち込む等、天気と自分の体の関係を把握することが、緩和の第一歩です。


患者さんの実例

実例01

30代女性

Before : 雨が降る前は頭痛がして、体がだるくなっていた・・・

倦怠感
締め付けるような頭痛
耳鳴り
寝込む

大学生の頃から時々気分が落ち込んだり、倦怠感が出たりしていました。
だんだんひどくなって来たので心療内科を受診したところ、うつ病と診断されました。
それから3年後に、天気痛のことを知り、頭痛ーる等を活用して天気との関連をチェックしたところ、雨降りや台風で気圧が下がるときに頭が締め付けられるように痛み、耳鳴りがひどく、倦怠感も増して寝込む傾向があることに気づきました。
その後も、旅行や外食等、友人と前もって約束することもできず、仕事にも支障が出ていたので、天気痛外来を受診されたのです。

After : 天気にふり回されることがなくなった

処方箋
首・肩ストレッチ

めまい薬と漢方薬を服用して、首や肩のストレッチを行ってもらうようお伝えしたところ、2ヶ月後の受診では台風が気にならなくなったとおっしゃいました。
ゲリラ豪雨では変わらずつらいとのことだったので、症状に合わせて薬の種類を調整したところ、以前に比べて気圧の影響をあまり感じなくなってきたそうです。
冷え性もひどかったのですが、去年に比べるとつらさが軽いと喜んでいました。
今は、天気にふり回されることがなくなったと嬉しそうにおっしゃっています。

実例02

10-20代女性

Before : ケガがきっかけで雨の日は布団から出られない・・・

偏頭痛
吐く
締め付けるような頭痛
寝込む

中学生の頃に転倒して首を痛め、首のケガが治ってからもひどい頭痛に悩まされるようになり、雨の日は寝込んでしまって布団から出られない、ひどい時には吐いたり、救急車で運ばれたこともあったりと、深刻な悩みを持った女性です。
高校3年生のときに受診された患者さんなのですが、ケガそのものは治っても痛みがそのまま続き、頭と首の両方の痛みに悩まされていました。
特に雨が降ると両方のこめかみが締め付けられるように痛み、寝込んで布団から出られないほどひどい状態でした。

After : 海外留学という夢の実現に役立った?! "天気痛"の治療

処方箋

高校生活は薬を飲んでやりすごし、大学受験もなんとかこなし、希望していた大学に合格したのですが、大学入学後の海外留学という夢のために、痛みをどうにかしたいと受診されました。
最初と2回目の診察は親御さんが付き添って受診されたのですが、3回目はひとりで受診できるくらい元気になりました。
今はもう受診されていないので、おそらく痛みをうまくコントロールできるようになったのでしょう。
ずっと夢だった海外留学という夢の実現に"天気痛"の治療が役立ったのであれば、これほど嬉しいことはありません。

実例03

40代女性

Before : 天気が悪くなると気絶するほどの痛み

気絶するほどの痛み
めまい

高校生の頃にあごの手術を受けたあと、天気が悪くなると気絶するほどの痛みを感じるようになりました。
大学受験のための勉強もできないくらいひどい痛みに悩まされていた時、テレビで"天気痛"のことを知り、私の外来に受診されたのです。
痛み、めまい等典型的な"天気痛"の症状があったので、めまい薬を処方しました。
遠方に住んでいる患者さんだったので、その後、痛みがすっかりよくなったというお手紙を頂きました。
雨が続いている時も、処方した薬を朝夕飲むだけで、あごの痛みは気にならなくなったそうです。

After : 逆に背中の痛みが気になりだした

処方箋
首・背中ストレッチ

ただ、背中の痛みがひどくなったとのことでした。
受診した時には、患者さんからの背中の痛みについての訴えはなかったのですが、理学療法士の記録では、首から背中にかけて若干のかたさがあったとのこと。
背中の痛みについては、ストレッチ等で首や背中のかたさをほぐすようお伝えしました。
おそらく、あごの痛みがひどい時にはそこに意識が集中して、もともとはあった背中の痛みを感じていなかったのだと思います。
あごの痛みがよくなったので、背中の痛みを感じるようになったのでしょう。背中の痛みはストレッチ等を続けることで、少しずつ改善することでしょう。

実例04

30代女性

Before : 痛みやめまいで起き上がれない

生あくび
痛み
起き上がれない
めまい

東京から娘さんに付き添われて受診した72歳の女性は、めまい薬だけですっかりよくなりました。
天気が悪い時には生あくびが出て、痛みやめまいで起き上がれないくらいしんどく、ひどい冷え性でストールが手放せない状態だったそうです。
初診では痛みがひどくなるタイミングがわからなかったので、「痛み日記」をつけてもらうようお伝えし、まずはめまい薬を毎日飲んでもらうよう伝えました。

After : めまい薬のキレのいい効き目

痛み日記
処方箋

すると、症状がどんどんよくなって、みるみる元気になったのです。
2回目までは娘さんと一緒に受診されましたが、3回目の受診からは一人で新幹線に乗って日帰りできるくらいになっていました。
家事もできるようになり、ストールを外したのは何十年ぶりとおっしゃいます。劇的な変わりようで、最初に受診した時と印象がまったく変わって、別人のようでした。
このケースでは、めまい薬を飲んだだけで、他に特に何を変えたわけではありません。めまい薬がキレのいい効き目を見せた分かりやすい例です。